【完】君しかいらない

「テメー、何やってんだよっ!!」


…えっ!?


あたしがお父さんの方を振り向くより早く、あたしの目の前にお父さんの大きな体が吹っ飛んできた。


「この痴漢ヤロー!!」


見れば、地面に倒れたお父さんの上に、奏太くんが馬乗りになって、襟ぐりを掴んで今にも殴りかかりそうな勢いだった。






「キャーッ!奏太くん、違うの、違うのっ!!その人、痴漢じゃないからっ」


あたしは慌てて奏太くんにしがみつく。


「…へっ?」


キョトンとする奏太くんに、殴られる寸前のお父さん。


いつもあたしをからかって誇らしげに笑うお父さんの顔は、引きつっていて、完全にビビっていた。