【完】君しかいらない

「じゃ。またな、お隣さん」


安元くんはそう言うと、本屋の中の雑誌コーナーへ消えて行った。


……せっかく名前教えたのに、呼んでくれないんだ。


ちょっと寂しいな。


だけどまた会うし、そのうち呼んでくれるよね。


前の学校では、仲のいい友達は男女共、あたしのことを“愛梨”って呼んでた。


安元くんにも呼んで欲しいなー、なんて言ったら、また睨まれそうだから、


とてもじゃないけど、そんなこと言い出せなかった。


……まぁ、別に名字でもいいんだけど。