【完】君しかいらない

じーっと見てたら、安元くんはチラッとあたしを見る。


ビクッ!


なんか、また睨まれてますけど……。


「こっちは名乗ったのに、そっちはナシかよ」


あっ、そういうことね。


あたしったら、相変わらず抜けてるなぁ。


よく友達にも注意されるんだよね。


「小中愛梨っていうの。ねぇ、安元くんは、ここで何してたの?」


「何って、立ち読みしてただけ」


違う、聞きたいのはそうじゃなくって。


「あっ、言い間違えた」


「は?」


うわっ……やっぱり怖い。