【完】君しかいらない

「だったらどうして学校辞めちゃったの?あたし、すごく心配して」



「アイツらの動きを止めるには、アイツらより上になるしかないって思った」



……え?



それは…どういうこと?











「入ったんだよ……黒龍会に」



「黒龍会って……なに?もしかして、ヤンキーのグループに…入ったって…こと…なの?」



「……そ。同じグループにいれば、アイツらも迂闊に俺に手出しはできない。

それに、生憎ケンカだけは誰にも負ける気しなかったし、すぐに幹部候補になれた」



「幹部……奏太くんが?そんな…そんなことしてまで……どうして、あたしに一言言ってくれなかったの!?そしたら、あたし……」



震える手で、背中にしがみついている奏太くんを引きはがす。



だけど奏太くんは、あたしを見ようとはせずに苦しそうに俯いた。



「言ったら……絶対に止められると思った……だけどさ、引き返すわけにいかなかった……。

途中で抜けるとか、メンバーには絶対に許してもらえないし……だけど、愛梨ちゃんに会ったら……俺の決心、揺らぐから…」



「今も……そうなの?」



「ん……引退は、来年だから……今んとこは続けるつもり」



「そんな……危ないこと、してるの?奏太くん、今の生活をずっと続けるつもりなの?」



あたしは奏太くんの体を、ゆさゆさと揺らした。