【完】君しかいらない

結局奏太くんにはしてもらうばっかりで、なにも返せなかったけど、




きっと今が、最後のとき。




奏太くんと過ごしたほんの数か月のこと……




今までは忘れようって思ってたけど、




今はもういい思い出にできる気がする。




やっぱりあたしは、




引きかえしてきて、よかった……。




「奏太くん……バイバイ。あたし、去年の夏……一緒にいれたのはちょっとだけど、すっごく楽しかったよ」




背中を見送るのは辛いから、




あたしは奏太くんを追い抜いていくつもりだった。













――グイッ!!




奏太くんを追い越そうとしたとき、不意に腕を引かれ、




その腕の中に閉じこめられた。




後ろから抱きつかれる形になり、




なにが起きのか、一瞬わからなかった。




なに……?




あたし、




奏太くんに、抱きしめられてる!?




「なんでだよ……俺が冷たくしてんのに……なんで……」





奏太くんはあたしの肩に、顔を埋める。




フワフワとした栗毛が、あたしの頬をかすめた。




「かな……たくん?一体どうしちゃったの?」




「らめ…ようと思った……」




「え……」




「こんなんじゃ……諦めらんねぇよ」