【完】君しかいらない

あたしが突然そう言ったから、奏太くんは少し驚いてる。



「ゴキブリ!?このマンション古いから、いつ出るかって思ってたけど……愛梨の部屋に出たのね!」



お母さんはクローゼットを覗き、中を見渡してる。



その間に目が合った奏太くんは、なんだか嬉しそうに笑っていた。



……もう、あんなことしないでよね!?



軽くニラんでみるけど、まだ笑ってる……。










「いないみたいだけど……」



お母さんがクローゼットから顔を出して、首を傾げる。



「えーっ、いたの!あたし今日この部屋で寝れないぃ……」



とりあえず、演技続行……。



「愛梨、怖がりだもんねぇ。……しょうがないわね、今からお店でバルサ〇買ってくるわ……」



お母さんもゴキブリが苦手だし、顔をしかめながら部屋を出ていった。



しばらくして、玄関のドアが閉まる音と、カギのかかる音が聞こえてきた。