【完】君しかいらない

それが同情なのか、兄貴としての責任だと思っていたのか……



今の俺と同じように、考えをすぐ口に出さない兄貴の考えてることは、俺にはよくわからなかった。



家から少し離れた場所にある工事現場が、俺たちの秘密基地だった。



危ないから入るなと、親に何度も叱られた。



それでも……兄貴は、ことあるごとに俺をそこへ連れていってくれた。



兄貴のことは嫌いだったけど、



なんだか一緒に親に反発してくれてる気がして、このときだけは少し嬉しかった。







工事現場のマンホールの中に、落書きをする。



それはアニメのキャラクターだったり、適当な言葉だったり。



それが俺には、すごく楽しかった。