【亜香里】



蓮司は本当にバカだ。



「あたしは蓮司が仕事してる姿、好きだよ?周りの人に気使って、疲れててても笑って仕事してる蓮司が好き…。」

「でも俺はお前を置いて行くんだぞ!?」

「2年なんてすぐじゃん?あたしは2年我慢して、この先蓮司と20年いる方がいい。自信たっぷりの、俺様な蓮司と。」

「くっ…。」



蓮司は今まであたしに見せたことのない涙を見せた…。



「マジごめん…。」

「なんで謝るの?蓮司の夢はあたしの夢だよ?CM撮影の時には戻ってきてね?」



そのまま蓮司に抱きしめられた。



蓮司はあたしを抱きしめたまま涙を流し続ける。



「蓮司が泣き虫だったなんて知らなかった♪」



あたしがそう言うと、いつもの蓮司に戻った。



「バカにした…。わかってんだろうな?」

「えっ!?」

「死んでも離してやんねぇから…。」

「うん…。」



あたしの進路と蓮司の進路は違いすぎた。



でも、あたしを想って流した蓮司の涙は、これからのあたしの強味になる。