【亜香里】



久しぶりに繋がった電話。



蓮司は優しい…。



「亜香里って明日入学式?」

「うん♪」

「マジで浮気すんなよ?」

「しないって♪蓮司こそ浮気してんじゃないの?」

「するわけねぇだろ。」



やっぱり蓮司が好き♪



でも、この後に聞く、受話器の向こうの声に奈落の底につき落とされる。



『蓮!?早く帰りましょ?』



何だ今の…。



「サヤ、ちょっと黙っててくんない?」



サヤって誰?



「ねぇ蓮司…。」

「あっ、わりぃ。」

「今の…。」

「今一緒に仕事してる人。」

「そう…。」



それ以上何も聞けなくなった。



『サヤ』



日本語で喋ってた…。



早く帰るって…。



どこに!?



「亜香里?」

「えっ!?」

「今から帰るからホテル戻ったら俺から掛ける。」

「あっ…。あたし…今から出かけるから…。」



何故かとっさにウソをついてしまった…。