妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~

「ついてはお姉さん、右丸なんてどう?」

 すかさず烏丸は、右丸を推す。
 烏丸の努力は健気である。

「・・・・・・と言われても。う~む、どんな奴だったかなぁ」

「優しいしっ」

 それに、と勢い込んで続けようとした烏丸だが、他が思いつかない。
 しばらく固まり、考えを巡らす。

「さ、左大臣家に仕えてるから、将来食いっぱぐれる心配はないよっ」

「・・・・・・それはわからんだろ」

「そそ、それにっ」

 苦労して捜した『良いところ』を一瞬で打ち消され、烏丸は必死で次を捜す。
 だが。

「・・・・・・うう、と、とにかく良い子なのよっ! さぁどおっ?」

 強引に右丸の印象を打ち切り、押し売りのように薦める。
 呉羽は、しばし空(くう)を見つめ、そして、はぁ、と息をついた。

「私は弱い男は嫌だなぁ」

 実際の腕は知らないが、どうも乏しい印象からは、とても腕っぷしなど期待できそうにない。
 うむむ、と烏丸は羽で頭を抱える。