妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~

「身の内で分離してるから、只人の右丸に無理が出てきたっつーことだ。どうするかね。器ごと叩っ斬るのが一番簡単なんだが」

『うわぁん! 折角傷も癒えたのに、いきなり殺されるなんて~っ』

 右丸の中から、烏丸の泣き声がする。
 さすが妖。
 そはや丸の言うことも、瞬時に理解する。

 只人の右丸は、いまいちぴんと来ないようで、しばしぽかんとしていた。

「・・・・・・えええ? う、器? もしかして、器というのは、私のことですか。え、器ごと斬るって・・・・・・。ま、まさか私を斬ると?」

 ようやく右丸が狼狽えだす。
 そはや丸は考えつつ、冷たい目を向けた。

「鈍い奴だな。お前を斬るのは容易いが・・・・・・。悪くしたら、呉羽が悲しむ」

「え、わ、私のことを、呉羽様が考えてくださって・・・・・・?」

「お前じゃない。烏丸だ」

 三度同じことを言い、そはや丸は、う~んと頭を抱える。
 その間にも、右丸の中からは『えっく、えっく』という烏丸の泣き声が聞こえる。
 この分では、呉羽にも聞こえそうだ。

 呉羽にも、それなりの力はある。
 加えてその身に、そはや丸は取り憑いているのだ。
 そはや丸を介して、強い気なら呉羽も受け取れよう。

「呉羽は何だかんだ言って、烏丸を気に入ってるからな。ここでお前を斬ったら、烏丸も死ぬ。後々、俺が呉羽に恨まれそうだぜ」

 舌打ちしながら、右丸を睨む。
 そはや丸も妖だ。
 どちらかというと、烏丸寄りである。
 あからさまに、お前が邪魔なんだよ、と言わんばかりの視線を右丸に向ける。