一通り話を聞き、呉羽はしばし空を睨んで考えた。
「そはや丸。お前は何か、心当たりがあるのか? 烏天狗がどうのと言っていたな」
朝に話していたことを思い出し、呉羽は横で興味なさげに聞いているそはや丸に話を振った。
「心当たりっつーか、普通に考えりゃ浮かぶ疑問だ。右丸には何の力もない。そんな奴が烏天狗に取り憑かれて、何ともないとも思えん」
「う、右丸は、烏天狗に取り憑かれているのですかっ!」
いきなり女官が声を上げた。
あ、と呉羽は渋い顔をする。
物の怪や妖に慣れた呉羽は何とも思わないが、普通の人間の反応というのは、こういうものだ。
不用意に妖などと言えば、たちまち話がややこしくなる。
案の定、女官は縋るように呉羽ににじり寄る。
「ああ、何ということ。やはりこれは、外法師様に縋るより他ありませぬ。どうか、どうか呉羽様、右丸をお助けください」
「そはや丸。お前は何か、心当たりがあるのか? 烏天狗がどうのと言っていたな」
朝に話していたことを思い出し、呉羽は横で興味なさげに聞いているそはや丸に話を振った。
「心当たりっつーか、普通に考えりゃ浮かぶ疑問だ。右丸には何の力もない。そんな奴が烏天狗に取り憑かれて、何ともないとも思えん」
「う、右丸は、烏天狗に取り憑かれているのですかっ!」
いきなり女官が声を上げた。
あ、と呉羽は渋い顔をする。
物の怪や妖に慣れた呉羽は何とも思わないが、普通の人間の反応というのは、こういうものだ。
不用意に妖などと言えば、たちまち話がややこしくなる。
案の定、女官は縋るように呉羽ににじり寄る。
「ああ、何ということ。やはりこれは、外法師様に縋るより他ありませぬ。どうか、どうか呉羽様、右丸をお助けください」


