妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~

「・・・・・・では、こちらへ」

 呉羽は、くるりと背を向けた。
 後に、女官が続く気配がする。

 だが、その他の足音はしない。
 皆、蓮台野に足を踏み入れるのを躊躇っているのだ。

 無理もなかろう。
 ここはまだ入り口だが、奥に行くほど葬送の地ならではのモノが増えるのだ。
 普通の者なら、好きこのんで中まで入る気になどならない。

 そう考えると、女官が躊躇いなく呉羽の後に続くのは、意外と言えた。

 しばらく歩いてから、ちら、と呉羽は後ろを見た。

「情けないですな。供なしですか」

 後ろを向くと、女官とばっちり目が合う。
 下手に下を向くと、見たくないものが見えるので、とりあえず目の前の呉羽に視線を合わせているのだろう。

「仕方ありません。わたくしだって、できることならこのようなところに、足を踏み入れたくはありません。でも・・・・・・確かに情けないですわね」

 ふ、と女官は、一つ息をついた。
 女官自身、雑色が誰一人としてついてこなかったのには呆れたようだ。