その少女は編み物が好きでした。

毛糸でいろいろな物を作るのが好きでした。

周囲の人からの評判も良く、少女は嬉しく感じました。

大人しい少女にとって、編み物は唯一の特技だったのです。

そして少女はさまざまなものを作り上げてきましたが、ある日、それだけでは物足りなくなってきました。

やがて彼女は、毛糸に自分で色を染めようと思いました。

連休を利用して染物を学びに行き、みるみる腕を上げていきました。

最初、少女は毛糸を染めるのに花や草、植物を使っていました。

しかしやがて、虫を使った染色まで始めました。

虫はフンや、鍋で煮た汁を使ったりします。

虫から出た色とは思えないぐらいの美しい色を出すのです。

少女はすっかりその色の虜になってしまいました。