ゆっくりとクローゼットを開けると、スーツや私服が山の様に掛けられている。 「ネクタイはどこ?」 ここは、ウォークインクローゼットになっていて、広さは8畳ほど。 辺りを見回しながら、ネクタイの在りかを探した。 「もう!広すぎるし、服は多すぎるし大変」 焦り気味で探していると、奥の小さなラックに、ネクタイが掛かっているのが見えた。 「あった!!」 三段になっていて、回転式だ。 一周回したところで、エンジのネクタイを見つけた。 緊張する手で、そっと取りあげる。 「これが、何だって言うの?」