夢を見た。きっと私の記憶が見せた夢なんだろう。 目を開けると、夢の中で私に微笑みかけていたのと同じ顔が、心配そうな表情で私をみていた。 「……ユリ? 大丈夫、やな夢でも見た?」 その言葉に、私はなぜか頷いてしまう。 幸せな記憶のはずなのに。無意識に思い出してしまうほど、楽しかった記憶のはずなのに。 私が辛くなるのは、そこに、自分の存在を感じられないからだった。