─カタン。
…人気を気にしながら、舞は勇心の靴箱をそっと開けた。
…考えた結果、やっぱり“想ってる”ってことだけは伝えたいから。
でも…許して。
あたしってことは、まだ…よう言わん。
…勇気がなくてごめん。
チョコを入れた箱の中から…メッセージカードを抜き取り、靴箱の中へと押し込んでいく。
「よう渡さんかった!」
その日の夜、夏子への報告の電話で…舞は本当のことを言わず笑っていた。
…このことは、誰にも言わへん。
いつか…面と向かって、“好き”と言えるときまでは。