合宿所に着くなり、目まぐるしく始まる作業の数々。
グループに分かれるときは、勇心とも離れ離れ。
飯ごう炊さんや山登りの時間になれば、舞は5班の方をチラチラと気にして視線を送るのだった。
他の女の子たちと賑やかに騒ぐ勇心の姿を見るたびに、舞の中でイライラした感情が込み上げてくる。
「どうしたん? 舞ちぃ」
「…えっ?」
そばに行きたいのに。
…話したいのに。
モヤモヤした気持ちが、舞の顔を暗くしていた。
そんな舞を気遣い、夏子が声をかけてくる。
「…何でもないよ」