もうすぐ今年が終わるという12月。



これは、まだ瑞樹くんと付き合う前の話―――






「柚音、最近あの人の話しないよね」


「へ?」



きっかけは、友達のマイちゃんの、この一言でした。




「反対側のバスの彼。どうなったの?」


「あー…」



ずっと気になっていた、毎朝向かいのバス停で見かける彼、達也さん。



いつも寝ていて一度もこちらを向いたことはなくて、いつか一目でもわたしを見てくれたらなって…



……思っていたはずなんだけど…





「代わりに瑞樹って人の話ばっかりだよね」




…だそうなのです。