12月04日


今年も残すところあと1ヶ月を切った。



世間はクリスマスムード。



今日も吐く息が白くなるほど寒く、雪がちらついている。



俺は黒い毛糸のマフラーを首に巻き、学校行きのバスを待つために、家から徒歩5分の停留所に向かう。





…あ、いた。



真っ白なマフラーに顔をうずめて、今日も看板横に立っている女の子。



初めて見た日から毎日、俺がこの停留所に着く頃には彼女が既にいる。



そしていつも、どこか儚げな表情で反対側の車線を通るバスを見つめている。



ある特定のバスを、通り過ぎるまでじっと。





会話をしたことはない。



だから名前も知らない。



ただ俺が分かるのは、あの子の通う学校が、俺の高校の隣の私立高校だということだけ。



あ、あと、彼女は誰かに恋をしているということも。




…だけど

俺はそんなキミに、恋しているんだ。



多分、初めてキミを見た日から。