花咲く原石

あっさりと退散するキアヌにシイラは慌てて声を張り上げた。

驚いたような表情で振り返った彼女はまた綺麗に微笑んで手をかざす。

「ちなみにお手洗いはそこ曲がって奥に行ったところだから。」

後ろで1つに束ねた長い髪が揺れた。

なんて品のある立ち振舞いだろう、シイラはキアヌに自分にはない大人の雰囲気を感じて照れてしまった。

「綺麗な人だったな。」

普段から石という美しいものを目にしている分、綺麗なものには弱い。

思わず見惚れてしまいそうになるのを必死で我慢していたのだ。

「じろじろ見たら失礼だもんね。」

さっきまで気を張っていた自分を褒めるようにシイラはガッツポーズをした。

空を見上げると木々の隙間から小さいけれども強い光を放つ星たちが沢山見える。

少しだけ景色は違うが、見慣れた光と空気に少し心が和んだ。

深呼吸をして水筒に水を汲む。

すると聞き覚えのある笑い声が近くで聞こえてきた。

急いで蓋を閉めて走り出し、その人物を探す。