紘哉は小さくため息をついた。 正直、羽兎がいなくてもやっていける。 むしろ騒がしい人が一人減って、せいせいするくらいだ。 しかし、なぜか胸の辺りがモヤモヤする。 「――おーい、紘哉?」 恵一が彼の顔の前で手を振った。 紘哉は我に返り、恵一を見る。 「大丈夫か?」 「大丈夫だ」 とその時、紘哉のポケットの中で携帯電話が震えた。