いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



「そう言いながら、あんたは嘲笑うがな」


「俺たちの全てが分かったと思わないでよ」


「変わり者同士だとしてもあんたの場合はイカれてもいる」


「イカれ帽子屋(マッドハッター)、失ったものが大きすぎて壊れちゃったかな」


仕返しのように言われたことでも、ヴェンスは薄く笑うだけ。


「部外者にもマッドハッターと呼ばれてしまうか。どうやら僕はよほど壊れているらしいね。気だって狂うさ、ここにはあの子はいないのだから」


クリームがついたイチゴを食べて、美味しいとも言わないヴェンスの喉元が動く。


「出たいと願いながら出てけばいいよ。時は止まっている。一時間も、一週間も、一年もないから、出口が見つかるまで距離を歩けばいい。きっと、案外、出口はすぐそこだから」