いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



結果的には何の変化もない。


来たときと同じ、汚れなく、人も三人だけの室内。


「なかなか楽しかったよ。君たちの愛情の深さが良く分かった。ああ、本物に、鬱陶しいぐらいの」


拍手でもして良さげだが、取り分けたケーキにフォークを刺すヴェンスは口だけだった。


「鬱陶しいぐらいの愛しているが理想的だ、重いぐらいの愛しては羨望的だ。何の見返りも求めず、尽くす側に立ちながらも決して恋人を裏切らずに一途を通す気持ちは実にいいね。ああ、とても分かるよ。僕もあの子を“愛している”から」


双子の愛情表情を気に入ったのはヴェンスとて同じだからか。


狂愛と一般的に呼ぶかもしれないが、彼らはこうなだけ。人を一途に深く愛した結果なだけとなれば、美談にもなろう。