もっとも、凍結した精神を持つヴェンスだが、前述にあった通りに双子についてふと思い出すこともあるだろう。
僕がやれなかったことをやった人、と曖昧ながらに羨ましい人と記憶の片隅に野晒しにでもなっていることだ。
「いいね、好きな者とずっと一緒にいられるのは」
「それよりもだな……」
「道を聞きたいんだけど」
「ああ、そんな話もしていたか。道……さあね、道なんかない。気ままに歩けば出口につくだろう」
「無責任だな」
「無責任だね」
「事実だよ。看板なんかないからね、道とて入り組み、どこに繋がっているか分かったものでもない。ただ、君たちが望めば出口につく。気づいたらさよならさ」


