いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



「あんたもつくづく変わり者だとは思うがな」


「俺たちの理解者でありながら、皮肉る嫌な人だけど」


死体が入ったバックを持ち歩くだけでも言えば疑われ、信じるならば引かれと、決して他人はいい顔はしない。

だというのにヴェンスは驚きはしたものの一抹程度。手品の種にしては三文だと異常行動を理解し、価値を下げていた。


そもそも、右桜左桜が他人にバックの中身をさらりと話したのも問題。死体を持ち歩くなどバレたら警察沙汰になり香我美と引き離される危険もあった。


杞憂になりやしない危惧事が分かっている以上、二人は今までバックの中身を公になどしなかった。


今になって何故――とも思わず、今までの問答すらも“ごくごく自然”と感じ得てさえもした。