いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



「だが、君たちのやり方は本当に“理想的”だ。持っていれば、失いなどしないのだから」


忘れるにもそれを実行した人がいるといつかふと思い出す記憶として残る。


――僕とてやりたい。やっていたかった。


「大切なモノを失うのは、自分すらも失うことだからね」


バラで飾った鎖をつけてあげたいほど、失わないように目の届く範囲では置いていたく――それでも拒絶される場合は、無我夢中で愛する。それが愛撫だろうが、人食だろうが、愛しい気持ちは変わらないんだ。


「とりあえず、匂いは気を付けようと思うよ。ここには鼻がいい者が多いから」


双子が手本らしくも、実行したならばそうしようという可能性をヴェンスは語る。