いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



反論したつもりでも、違った見方で迎撃された。


確かに食べて生かされてはいるが、それは香我美に限ってのことではない。肉ならば牛や豚があり、現時点での体構成の一部となっている。


そんな“一部”でしかない香我美もまた豚肉と同類だと区別されても何も言えないが、豚肉程度の薄い愛情しかないと差別されるのはイラつく。


「豚肉に愛情など持たない。あれは所詮、食べ物。あるとすれば好物だ。香我美(人間)は食べ物ではないのは自覚している。その上で食べられるのは愛情故に」


「そうそう。その証拠に、“今の香我美”をこの場で愛せと言われたら愛でるし、呑み込んでもあげられる。豚肉なんかにはできないよ、強すぎる苦汁も、酸味も、喉にべたつく感覚でさえ、香我美だと思えば幸せだ。不味いのに不味いと嫌な思いはしないよ」