「醜くなろうが、香我美は香我美だ。俺たちの気持ちは変わらないし」
「大切にしている。ずっとそばにいてあげるんだ」
「言えども、腐敗とは形が崩れ、溶けることだ。原型が無くなった物をいつまでも“持ち続ける”など不可能。手のひらに乗せた瞬間、指から溢れる」
「そうなる前の対処はしている」
「捨てやしない、香我美を好きだから。好きだから、食べる」
「食べる?――クッ、食べると来たか」
よほどおかしくも、乞食を見るように嘲り笑うヴェンスに、右桜はムッとした。
「愛するの最終形態が食べるだよ。これで香我美はずっと俺の中に生きていられる」
「愛する者が血肉になるなんて嬉しいだろう。呼吸をし、鼓動を感じる度に、香我美に生かされていると実感できる」
「ならば君らは、豚肉に愛情でも持つのかな」


