いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



「いや……」


「ならば、なおのこと“部外者”だ。アリスとは違う性別に二人連れ。本物(アリス)の偽物にもなりやしない“規格外”がこの世界に入ってこれるだなんて、初めてだよ」


驚く一方、不可解だった。


出揃った役者がいる舞台に観客が入り込んできたようなもの。何の意図があり、何の偶然と、何の必然が重なりここまでたどり着けたのか。


紅茶を口に含みながら、事実だけを男は述べて――あることを気づく。


「ああ、チェシャとラットが言っていた危険って君たちのことか」


双子の顔から傍らに置かれたショルダーバッグへ。甘い匂いに混じって来た酸っぱいものに男は気づく。


男の目線が香我美に向けられたことにより、二人してバックを抱えて、手を出すなと威嚇するように睨む。