いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



紅葉色の液体からは芳醇な匂い。口に含めば飲み込みたくないほどの甘さが舌を満たす。満たしたところで名残惜しくも飲み込めば、喉から体が癒された。


喉仏が上下するほど一気に飲むのはマナー違反だが、存外に疲れていたらしい。癒された分だけ、それだけ限界だったのかと知る。


「美味しい」


「ああ」


「だったら良かったよ。――ところで、この家に入ったからには、何かしらの用事があってのことだろう?堅苦しいのは苦手だから、良ければ気張らずに言ってほしい」


「……、実は道を聞きたくて」


「この森から出るにはどちらに向かえばいい?」


男の言う通りに敬語抜きで訪ねれば、ここにきて男が解せないなと目を細めて表情らしい表情を作った。