いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した



食事とは生かされる行為だ。


死人となろうが、一体化した時点で左桜が呼吸をすればそれは紛れもなく香我美を食した栄養源で各器官を働かせているのだ。


空腹で人が死ぬのが証拠。食べて生きての法則は小さい内から身に付く。


なればの話、こうして双子が生き続ける限り、香我美も血肉として生きている。


興奮すらもした。
だから舌が拒否し、鼻が拒絶する、味と匂いを持とうが――そんな生理現象を乗り越えてまで、香我美と一緒に生きるためと双子は呑み込みもしたんだ。


それを近々やることに、俄然、嬉しく思う右桜。左桜とて心なしか口端が緩んでいた。


――これでまた、香我美と愛を深められる。


禁断的、背徳的、手を触れてはいけないと分かりつつも、赤く実ったりんごを手にとってしまうように心が興奮で弾む。