バラバラにした四肢を双子で“半分こ”し、時には持っている右手と左手を変えたりと、それぞれがそれぞれ、文字通りに“余すことなく均等”に、双子は香我美を愛した。
ただ、人間を持ち歩くのはなかなかに困難。子供ならばともかく、生前の香我美は大人だ。容量オーバーとなる。
そこでの半分こは、二人で仲良く香我美を守ろうと団結できるものだが、例え持てても腐敗は進む。
手入れをしようが、防腐剤を入れようが、生命を無くした器は外気に当たっただけで廃れてしまう。
廃れは伝染し、早めに芽を摘まねば綺麗な部分が廃物と化す。
右桜に言われるでもなく、左桜とてもうそろそろ限界かとも思った。
香我美とずっと一緒にいたいとこうしたが、いつかは“形が崩れる”と予知するまでもない。


