「いやいや、あるよ!……多分。」 「多分かよ。」 「ちょっと黙っててよ。先生に気づかれるし。」 「はいはい。」 がさごそと教科書を探す。 何度も見る。 英語、現国、科学、世界史……… 数学は……ない…。 「あー!もう、早く。楓ー!」 要が急かす。 「ちょっと待ってよ。あるかもしれないから。」 「え…。それって、ないほうの可能性が断然高いじゃんね?」 「もー。要がうるさいから、見つかんないんだし!」 「俺のせいかよー!!」 「静かにしてってば。」 「ひぃー。怖ぇー!!」