そんな俺の気持ちも知らず蝶は穏やかに眠る。

「蝶・・・」

そっと、名をつぶやく。

俺は君の名を呼ぶときいつも、俺だけの「蝶(ちょう)」であってくれますようにと、どこにも飛んで行かせないという思いを込めて呼んでいる。

いつか、君にそのことを告げてみようか?

そしたらきっと、君ははにかんでくれるだろう。

そんなことを思いながらまた眠りにつく。

幸せな眠りに。