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「そういえば聞いた?」
店長の話はいつも唐突だ。今日も仕入れたばかりのバラのトゲ落としをしていると背後から声がした。
「何がですか」
「橋本さんがシティズのライブチケットが当たったんだってさ」
「すごいわよねぇ。ファンクラブでもプラチナなのに、シティズって」
ノリノリで話に加わってくるのはバイト仲間の戸田さんだ。
店長の方針かこの店は、主婦をたくさん雇ってるからフルタイムの私は社員みたいな存在だった。
戸田さんも橋本さんもジュリーズ事務所のアイドル好きが共通していて見た目よりもずっと若いママさんだ。
「へぇそうなんですか」
「いいなぁ、私も生でさっしー見てみたーい」