「それにしても、つまんない花束作っちゃったな」
せっかくの機会なんだからいろいろと色合わせを挑戦してみてもよかったのに、できあがったのは色の少ないものになってしまった。
「だって、イメージっていうから」
きっと、ぱっとみたらあのモデルみたいな外見と軽い口調にはどんな色だって似合うだろうけれど、どうしてもそれはあの客の本当の姿には思えなかったのだ。
「・・・変なの」
強いていうなら不謹慎だけれど死のイメージの白が似合いそうだったのだ。
「あ、いけない、閉店しなきゃ」
気づけばもう閉店20分前になっていて私は慌てて店の片づけを始めた。
あんな客はもう来ないだろうなと思いながら。