「もしかして、あ・た・し?」

窓に近づいて、自分で自分を指差した。


「…んなぁ訳ねぇーだろ。和菓子。」

「和菓子?」


「昨日言っといたのに、貰うの忘れたから。」

昨日を振り替えってみると、確かにそんな話をしてた気がしなくもない。

和菓子に負けたあたしって…

「優斗にも負けて、和菓子にも負けるとは
なんという不覚…」

ガクッと項垂れる。
次は優斗から励ましの言葉でもあるかなと微かな期待を持ちながら。


「そんなことやってる暇があったら
さっさか学校行った方がいいんじゃないの?」

が、励ましの言葉なんてこれっぽっちもない。


あっ…
そうですよね…

でも、自転車が…


「2けつしていってやろーか?」

「それもんのすごく助かる!!」

ラッキーじゃん♪

ってか珍しく優斗が優しい。
この手これからも使えるな…


「和菓子持ってこいよ。
じゃあ、俺がお前ん家の前で待ってるから
15秒で来い。」


―ガラガラ


「えっ!ちょっと待って!」

必要な事だけさらっ言って、優斗はさっさか戻ってしまった。

女の子って支度大変なのよ?



でも、


ドタドタドタ

「あずきーうるさいぞー!」

本日2回目の階段ダッシュ。
うるさいですね。

「ごめんねー。

あっ、和菓子何かちょうだーい!」


お店の方に和菓子を持っていこうとしていたお母さんを引き留め、持っていたお盆を覗きこむ。


「何がいい?」

「じゃあこれっ!」

「はいよ。」

優斗が好きな和菓子はなんとなく分かってたからそれを貰い、玄関まで走る。

ここは助けてもらわないと
絶対遅刻。