「せ……な………さま?」




わたくしを、みていてくださった?




それは……好きということですか?






「せな……「君が愛おしい。とても」」



ぽろり。






わたくしの目から出たのはひとしずくの……なみだ。





優しい。




あたたかな……なみだ。






「瀬名さま……瀬名さま…………瀬名さま……」



彼の背中に腕を回して縋(すが)れば、瀬名さまもわたくしを力いっぱい抱きしめてくださいます。





「愛している。


君を……いつだって……。



幼い……誘拐にされそうになったあの頃から自覚したんだ」





そう言って、彼は抱きしめたわたくしの腕を解きます。



瞳がぶつかり…………。