「だが、これは本当のことでね。


わたしは……昔の魔女は人魚姫を人間にし、呪いをかけた醜い存在なんだ。



わたしには、魔女の力が宿っているんだ。




――さっき君を襲ったあの男二人組にわたしがしたことはね、姫ちゃんとわたしの記憶を消したんだよ。


あの……通常の人には出せない光を君も見ただろう?



アレはわたしたち魔女一族特有の魔法といわれるものだ」




記憶を――――消した?



瀬名さまは――――魔女一族?




魔法が――――使える?


だから……わたくしの、人魚の姿を見られても何も反応がなかった?




瀬名さまは……はじめから、わたくしが人魚だと知っていらしたから?






「わたしたち魔女は過去、人魚の声を欲し、奪った。


そして、醜い心を持った所為(せい)で呪いをかけ、人魚一族に呪いにかけた。



想い人に恋を告白すれば、必ず両想いに。


両想いになった一か月後には心のこもった口づけをしなければ人間になれない。


さもなければ、泡になって消える。






そういう呪いをかけた」