「せなさまぁ……」



泡に……なりたい。




瀬名さまのお側にいられないのであれば……。



やがて瀬名さまに惹かれ、将来を分かつ女性と共に過ごされることを見なければならないのであれば――――――。






泡になって消えてしまいたい。







だって、ここには、わたくしの居場所はございませんもの。






もう……ありません。





太陽はいつの間にか消え失せ、三日月が頭上を照らしております。


家に……帰らなければ……おじさまやおばさまが心配なさいますわ。


それに……瀬名さまも……。




ですが………………。





わたくしを想っていない彼の元に戻っても、悲しいだけですわ。




「ふっ………………」


また嗚咽と一緒に大きな粒となった涙が流れはじめたその時でした。