その日、わたくしは悲しい想いを秘めたまま、おじさまとおばさま……そして、瀬名さまと同じ時を過ごしました。



おじさまは、お仕事でお疲れになられているのに、わたくしのことを気遣ってくださいました。

他愛ないわたくしの日常に耳を傾けてくださって、自分勝手なわたくしの父と母のことを笑いながら耳を傾けてくださいます。


おばさまは、とても美味しい夕食をご用意してくださいました。


瀬名さまは…………その日、わたくしとは視線さえも交わしてくださいませんでした。

わたくしのこと……お嫌いになったのでしょうか?


ですが、わたくしの行動のいったい何が瀬名さまを不快にさせたのかがわかりません。


こうやって、あなたはわたくしから離れてしまいますか?




そう思えば、わたくしの胸がぎゅっと締めつけられます。



苦しい。


とても辛い。



わたくしを受け入れてくださらないのであれば、はじめから優しい態度などとってくださらなければよろしいのに……。




幼いころに連れ去られそうになったことだって……あのまま……放っておいてくださってかまいませんでしたわ。


それにそれに、送り迎えだって、空手だって。

わたくしが期待してしまうことばかりで……どうすればいいのかわかりません。


瀬名さまも、もしかするとわたくしのことを好いてくださっているのかと……。



勘違い……してしまいそうになります。






どうして?


なぜ?




その日の夜は、結局ほとんど寝付けませんでした。