階段を上りきると、すぐに三つの部屋が並んだ廊下が目の前にあらわれます。


その内、向かって右側がおばさまとおじさまの寝室。

一番奥が瀬名さまの部屋だそうです。



そして、真ん中の部屋をわたくしが使ってもいいとのことで、四畳のお部屋にお邪魔しました。


瀬名さまはわたくしの荷物をストンと置くと、窓を開けてくださいました。



窓からゆるやかに入ってくるそよ風が、瀬名さまの髪を撫でます。


ああ、本当にお美しいですわ。



まるで、風と戯れていらっしゃるような……風の妖精さんにも負けないくらいのお姿なのですわ。



そんなお美しい瀬名さまに思わず見惚れていたわたくしは、彼が目の前に来たことを実感できず、わたくしの方へと歩み寄る彼をずっと見つめていました。




すると…………。


ああ、彼の長い指先がわたくしの頬に触れますの。


彼の指先が触れたところはやがて熱を持ち、ジンとしてきます。



わたくしはいったい何が起こっているのかわからず、そのまま目をあけ続けたまま彼を見つめます。


「口に入ってる」


瀬名さまはそうおっしゃってからひとつ微笑むと、唇にかかっていたわたくしの髪を取り除いてくださいました。

するり。とわたくしの耳の後ろへかけてくださいます。



このまま…………瀬名さまを見続けていたい。




そう思って、わたくしは身じろぎもせず瞳の中に瀬名さまを入れ続けます。


すると…………。


びくん。


わたくしは思わず震えてしまいました。