だって……瀬名さまと一つ屋根の下ですのよ?


ああ、お父さま、お母さま、ありがとう。



あんなマイペースな両親ですけど……他人様に迷惑ばかりかけてしまっている両親ですけれど……。



突飛な発言をする両親ですが……。


突然キャリーバックを持って海外へ行くと話す両親ですが……。




ここは、こっそり感謝ですわ。





「一人の方が何かと遠慮しなくていいし、楽だと思う。

だけど、やはり心配でね。


身支度もあると思うし、待ってるから家から……「はい!! お伺いします!! 今すぐ!!」」


わたくしは瀬名さまの言葉を遮り、『ぐわしっ』と大きな彼の手を掴みました。




断る理由などありません。



それにそれに……毎日瀬名さまとお話しができるということは……わたくしを女性としてみてくださる時が来るかもしれないということですもの!!





これはまたとないチャンスというものではないでしょうか!!




これは、アレですわ。


飛んで火にいる夏の虫です!!