「うるさいって……自己中女が!!

人の彼女取るなよ!!


そんなだから好きな相手が振り向かないんだろうが!!」


んな!!

なんですって??


「聞き捨てなりませんわ!!

あなたなんかにわたくしの美しい純粋な心根がおわかりになりませんことよ!!


狭い心をお持ちの安藤 龍一!!」



「ああ、ああ、わかりたくないね。

お前のどこに美しい心根があるっていうんだ?」



むっき~!!

ムカつく~!!



「あの~。

お二人さん、そろそろホームルームをはじめたいのだが……」

ふいに後ろから聞こえた声に振り返るわたくしと安藤 龍一。


そこには黒縁メガネをかけた恰幅のいい男性の先生が控えめに立っておいででした。


けれど、今、わたくしはそれどころではありませんの。


「「うるさい!!」のですわ!!」



思わず言ってしまった口を両手で塞ぐわたくしと安藤 龍一に、先生は……。


「ほほぅ?

うるさいと?」


額に青筋を立てて、ひくひく眉をひきつらせています。


気がつけば、教室中に立っているのはわたくしと安藤 龍一のみ。


先ほどまで傍にいた空ちゃんとマリちゃんは、自分の席に座っています。


薄情モノ~!!



……こ、これは……マズい展開になりました。


そう思っても、もう事はすでに遅かったのですわ。


先生は鼻を膨らませて、一気に空気をスウっと取り込むと……間合いを少しあけました。