「ちょっと、お父さん!!

お母さ……「じゃあね、姫ちゃん。健闘を祈ってるわ」」


バタン。


……って……人が話している時に出て行くな~ですわ!!!!!!!




怒りでお腹の中がグルグル渦巻いている中、玄関のドアが閉まる音は妙に大きく鳴り響いたような気がします。





「~~~~~~」

ごきげんよう。


わたくし、白亜(はくあ)高校に通う1年生、15歳の神楽 姫(かぐら ひめ)と申します。



父は海外にも事業をかかえているとっても有名な実業家で、そのためにいつも海外と日本を行ったり来たりしているわけですの。


そんな父に恋をしたのが母。

母と父、結婚して何十年と経っている今も新婚気分のような、こんなラブラブ雰囲気。



けれど、それは仕方のないことだと思っています。


なぜって?


それは、わたくしの家系に問題がありますの。



わたくしたち家族には、他人には言えない秘密があるのですわ。


それは……わたくしの家族が人魚一族の末裔なのです。


嘘だとお思いでしょう?

わたくしだって、嘘だと思いたいのですわ。


けれど、これは紛れもない事実なのです。




わたくし、今は二本の足があります。


ですが……塩分を含んだ水に少しでも足が触れれば、たちまち姿は人魚へと変わってしまうのです。


困ったものですわ。