もうすぐ、バレンタイン。 テレビや雑誌はもう一ヶ月も前からその話題でいっぱいだった。 “どんなに不器用でも美味しく出来る!” そんなキャッチフレーズのそれを、あたしは二週間以上も前から練習してた。 「楊、俺もうチョコは食えねえ…」 「……あたしだって食べらんないもん。」 試作品を散々食べさせた軽穂はもうチョコはいらないらしい… あたしも毎日毎日毎日毎日――チョコは食べ飽きた。