「興味削がれる?」
「…そうだね。逆に興醒めすることある。四季は?」
「うん…。どうなのかな。実際にはまだ知らない世界だから、女の子とつき合ってみなければわからないことなんじゃないかなとは思う」
「四季はわりと実際的だよね」
「うん。感覚がわかるからね。想像ではわからないこととか、意味のないことってあるし」
そう言う四季を、由貴がちらりと一瞥した。
「──四季、キスは上手そう」
「え…。そう?」
「さっき自然だったし。無意識にそれなの?」
「そうだね…。意識はしてない。対由貴の場合は、由貴だからなのかもしれないよ。僕が自然なのは」
「やっぱり女の子相手だと緊張する?」
「たぶん…。でも真白は最初に僕の方が寝込み襲われてるから」
「ええ?」
「図書室でうとうとしてたら、キスされて目が醒めて…」
「──そうだったんだ」
「だから僕からキスした時はそんなに緊張しなかった」
外は雨が降り始めた。そのせいか少し冷えている。
ふと窓の外を見ると、最近はあの猫の姿を見かけることが多くなっていたことを思い出し、四季は庭に猫の姿を探そうとしたが、雨が降っているためか見つけられなかった。
「あの猫が桜沢静和さん…」
独白のように口にする四季に、由貴は肯定する。
「うん。四季は猫を見ても何も伝わって来なかった?」
「来なかった。じっとこちらを見ていることがあったから、何か言いたいことがあるのかなって不思議には思ったんだけど」
「伝えようとしていたのかも」
「由貴の話を聞いてみると、そうなんだろうね…。涼ちゃんには話した?」
すっと四季に自然に切り込まれて、由貴は思ってもなかったことを聞かれたように顔を上げる。
「え…。ああ、涼?…まだ」
「まだって…。話さないの?」
自分に話すよりそちらが先なのでは、という表情で四季が見たので、由貴は理由を話した。
「話せなかったんだよね。今日は涼、新しい服の撮影もあったみたいだし。午後の授業からは来ていたけど、少し顔色良くなかったし…。やっぱりデリケートな話だから。涼の友達に吉野さんっていう子がいるんだけど、吉野さんに涼にお兄さんのことを聞くのは大丈夫なのか伺ってみたら、あまりいい顔はしなかったし」


