由貴の手に持っている体育館の使用時間帯の書かれた紙を四季は見てみる。
由貴が説明してくれた。
「時間帯のコマに鉛筆書きで書いているのは、その時間帯に体育館使用希望のクラス。音楽科2年は練習を始めるのが早かったし、時間もきっちり1時間にまとめるってことを樹が言っていたから、忍のクラスは希望した時間帯で決定で考えてる」
由貴と四季が話しているところへ、近づいてくる生徒。
「会長」
生徒会役員のひとりである、長野悠が声をかけてきた。
「演劇部他の文化祭までの体育館を使用するクラスと部活動、まとめておきました」
「ありがとう。問題はなかった?」
「体育館は問題ありません。桜沢さんが各クラスや部活動で作る大型の置物や機材を片づける場所を確認していました。切羽詰まると収拾がつかなくなるので」
「ああ…」
由貴はそこまでは動いてはなかったから、涼が気を利かせて動いてくれているのだろう。
「わかった。涼に確認をとってみる」
「何か手伝いますか?」
「そうだな…野外ステージの確認をしてもらいたい。俺は当日の体育館の利用時間枠の事で、各責任者と話し合いがあるから」
「了解です」
長野悠が四季の方をちらりと見た。
「ところで四季の練習時間なんか訊かれたんだけど」
四季は怪訝そうに瞬きする。
「練習時間?誰に?」
「1年の子達に。四季、2年の生徒とは一緒に行動しているけど、3年と1年の子達とは、今のところほとんど接触ないだろう。四季が見たいのに、なかなか見られないからってつまらなそうにしていたよ」
「長野くんに僕のことを訊いてもわからないと思うんだけど…」
「うん。何か生徒会役員だから由貴の近くにいるなら、四季のこともわかるかなって思われている面、あるみたい。…綾川四季の時間管理表なんてないよね」
「ないよ」
「時間管理表って…芸能人か何かみたい」
由貴が笑った。
悠は真面目な顔になる。
「話聞いてるとすごいよ。クラスの時間割書き込んでいる子もいるし、移動教室とかでもわざわざ四季に会う確率が高いルートで廊下を歩くとか」


