時は今




 意見があるというように、男子の中から手が挙がった。

「俺、今の四季の歌、いいと思った。四季の歌じゃダメなんだ?」

 樹はそうだな、と答える。

「本当は四季の歌でもいい。でも高遠さんと揺葉さんが重要なポジションに立っている上で、四季がピアノも歌もとなると、『森は生きている』の純粋なテーマ性というよりも、恋の闘いのような様相になってきそうだから。それに、音楽科も四季にばかり任せて安穏としてはいられないんじゃない?自分の音楽の才能をアピール出来るかもしれないチャンスがあるのに」

 そう言うと他に異論は出なかった。

 樹は「じゃあ始めようか」と言ってピアノの前に座り直した。

 チャイムが鳴る。

 予め歌う順を決めておいた順に、音楽科の男子がひとりずつ、それぞれの『4月』の歌を歌い始めた。



     *